宴もたけなわ

思い立ったら書きます。

未来にキスをってゲームを人に勧められるがままにプレイした感想

未来にキスを」ってゲームを3週間ほど前にプレイし終えたのだけれど、こいつぁ・・・


この感想もこれまで通りに後半はメモしたセリフをバシバシ貼り付けるんだけど、まずはこのゲーム終盤に出てくるやり取りでこんなのがありましてな。

 

 

 

式子
「自走するシステム・・・。
正確に言うと、自走するシステムを仕掛けた張本人の話。

近代的な教育が、歴史上最大の自走するシステムを生み出したんじゃないかって思って」


康介
「なんのことだ?」


式子
「昨日、椎奈が言ってたでしょ?
実体のない超越的なシステムが勝手に動いて、わたしたちを支配するっていう話」


康介
「ああ・・・そんな話してたな。
けど・・・俺にはよく理解できなかったけど」


式子
「それは・・・あなたがシステムの外にいるからよ。
システムに支配されてるわたしには、よく判る」


康介
「俺がシステムの外にいるとか、式子がシステムに支配されてるとか・・・一体その・・・システムって何なんだ?」


式子
「自動的に動くんだけど、人間じゃなくて、人間の上に超越的に存在してて、そして人間を支配するもの。
例えば具体的に言ったら・・・一番大きいものは『法』ね。
うん、みんな、法律に従って生きてるでしょ?」


康介
「そりゃまあな・・・」


式子
「うん・・・社会を円滑に運営するためのルールとして法があって、それに従わない者は罰せられる。
ま、当たり前のことね。

でもそれだけじゃなくて、法はわたしたちの本能にまで食い込んで支配する。
法なんていうのは生活を便利にするための道具に過ぎないのに、それが行動の自由まで束縛してる」


康介
「・・・それって、当たり前のことなんじゃないのか?
そうじゃないと、犯罪者が野放しになる」


式子
「ああ・・・言い方が悪かったわね。
行動の自由っていうか・・・自由度って言った方がいいかな。

世の中には人がいっぱいいて、お互いに関係し合いながら生きている以上、個人の欲望は制限される。
これはいいのよ。そうでないと、世の中、ほんとの混沌になっちゃうから。

けど、何をどういう風に考えるか・・・何を欲するか・・・それは無限に自由なはずじゃない?」


康介
「思想の自由とか、そういうやつか?」


式子
「無理にそんな言葉引っ張り出してこなくていいけど、うん、そういうの。

どういう意思を持つかっていうのが、人間を形作ってる訳じゃない?
でも法は、技術的に行動を制限するだけじゃなくて、無意識のレベルにまで入り込んで、人間の根本にある意思まで支配しちゃう。

目に見えない超越的な存在に、そんな風に支配されたら、もう人間は人間でなくなっちゃうでしょ?
しかもそういう存在って、姿が見えない分、歯止めがきかなくって、どんどん自走していっちゃう。

だから・・・わたしたちは永遠にがんじがらめ。
永遠に人間になれない」


康介
「でも・・・それは克服できることなんじゃないのか?
式子はもうそのことを知ってるんだから、自分の意思で動けばいいんじゃないのか?」


式子
「・・・そう簡単にはいかないのよ。
そのことを知ってるからって、意思が自由になるってものじゃないのよ。

こういうシステムっていうのは、無意識のレベルでわたしたちを支配してるものだからね」

 

 

こういうの好きだから、テーマは自分にあってた!のだけど・・・


とにかく日常パートが楽しめなくて、それがシリアスなシーンにまで尾を引いてしまって入り込めなかったのよなあ。

 

そのせいもあってか、シリアスなシーンでは作者の思想を前面に押し出しすぎでしょ!と思ったし、キャラが作者の思想を代弁する操り人形にすら思えてしまったよ。


猫撫でを貸してくれた人が「猫撫でも良いですが、自分はこっちのほうが好きなんですよ」って貸してくれたんだけど、ぼかぁ猫撫でのほうがずっと面白かったなあ。

猫撫ではキャラが可愛いし電卓オヤジが面白くて日常パートも楽しめたんだけど、未来にキスをは日常パートが絶望的に楽しめなくてキャラにも魅力を感じなかった・・・


貸してくれた人に
「終盤のやり取りは面白いと思うんだけど、全体としてはつまらなかった・・・というか、ストーリーありました!?この話?」

って言ったら
「ストーリーはないです。とにかくテーマがいいんですよ!あのライターは宗教ですから!!」とかなんとか。

 

うーむむ、たしかにテーマは面白いと思ったけどさあ・・・
物語として面白いのが読みたいので、本気で哲学のこと知りたいなら哲学書でも読むさ。



人に勧められるがままに自発的な興味がない状態でプレイしたっていう状況も、没頭しにくい環境の要素だったとは思うけど、。今回は相手が悪かったと思うんだ・・・。

 

 

それでもいくつかのセリフは(作者の思想をひしひしと感じるけど)面白いと思ったり考えさせられたりしたのでメモ取ってあるから、めちゃ短い感想だけどそれらをいくつか並べて終わりにしますかね。

 

 

式子
「賛成とか反対とかいうより、現実認識の問題。

わたしたちはもう、相手を見ていない。
見ているのはただ、自分たちの中にある・・・何て言ったらいいかな、そう、『属性』に過ぎないのね。

自分の中に『属性』があらかじめあって、それを目の前の人間にあてはめて見てるだけなの。
わたしたちは自分の中の属性を見て、属性を相手に会話をしてる」


血液型、いじりキャラ、いじられキャラリア充、非リア、アニオタ、ギャル、サブカル系、ツンデレ、妹、姉、幼なじみ、実は女、実はロボ、とかとか。

三次元的(?)なものがあまり思い浮かばなくて二次元ヒロインの属性になってしまったけど、こういう属性ごとに自分のなかでだいたいこういう性格で、こういう行動を取るからまず自分はこうしてみて反応を見るみたいなことってあるなあ。

 

慧子
「霞ちゃんはお兄ちゃんという個人が好きなんじゃなくて、『お兄ちゃん』っていう概念が好きなんだよ。

元々霞ちゃんの中に『お兄ちゃん』っていう概念が用意されてて、そこにお兄ちゃんという素材が現れて、うまくはまったんだよ。
霞ちゃんが好きなのは、お兄ちゃんそのものじゃなくて、霞ちゃんの心の中の『お兄ちゃん』なんだよ」



「ち、違うよっ・・・何だかよく判らないけど、ボクはほんとのお兄ちゃんが好きなんだもん!」


慧子
「霞ちゃんがもしほんとのお兄ちゃんのことを好きなんだったら・・・霞ちゃんとお兄ちゃんは永遠に結ばれないよ。

そう・・・今までの人たちはみんなそうだった。
みんな相手のほんとの姿を見ようとしてたから・・・絶対に結ばれることがなかった。

でも今は違うんだよ、霞ちゃん。世の中はすごく変わってきてるの。
わたしたちは相手の本当の像を見ようとすることなしに、自分の中の相手を見てるの。

だからわたしたちは幸せなの。
そうして初めて、相手をずっと永遠に手に入れることができるから。
霞ちゃんがほんとのお兄ちゃんを見てないのは、全然悪いことじゃなくて、それは希望なの。
霞ちゃんはね・・・このままでお兄ちゃんを手に入れることができるんだよ。

ただ・・・わたしたちの存在が新しくなっても、頭の方はまだまだ旧いままだから、なかなかついていけないこともあるけどね。
霞ちゃんも多分、混乱してるんだと思う。
でもね・・・霞ちゃんの未来は薔薇色だってことは、覚えておいて欲しいの」

慧子
「わたしには判ってたよ。霞ちゃんがお兄ちゃんのことを『お兄ちゃん』って呼んでたのを聞いた時から。

霞ちゃんは、お兄ちゃんそのものじゃなくて、ちゃんと自分の中のお兄ちゃんを見てるんだなって判ったから」

 

この慧子ちゃんって子がまた、いきなり現れたくせにこんな小難しいことをまくし立てるものだからもう目が点になりながら読み進めたシーン。

相手の「自分が見たい要素」だけを見て、あとの相手が持ってない要素は勝手に想像の中で補完してしまえってこと・・・?

理解できてないんだけど、こんな生き方できなくない?
そんなことしてたら絶対に他人と衝突が生まれるでしょ。

 


慧子
「霞ちゃんはお兄ちゃんという個人が好きなんじゃなくて、『お兄ちゃん』っていう概念が好きなんだよ。

元々霞ちゃんの中に『お兄ちゃん』っていう概念が用意されてて、そこにお兄ちゃんという素材が現れて、うまくはまったんだよ。
霞ちゃんが好きなのは、お兄ちゃんそのものじゃなくて、霞ちゃんの心の中の『お兄ちゃん』なんだよ」



「ち、違うよっ・・・何だかよく判らないけど、ボクはほんとのお兄ちゃんが好きなんだもん!」


慧子
「霞ちゃんがもしほんとのお兄ちゃんのことを好きなんだったら・・・霞ちゃんとお兄ちゃんは永遠に結ばれないよ。

そう・・・今までの人たちはみんなそうだった。
みんな相手のほんとの姿を見ようとしてたから・・・絶対に結ばれることがなかった。

でも今は違うんだよ、霞ちゃん。世の中はすごく変わってきてるの。
わたしたちは相手の本当の像を見ようとすることなしに、自分の中の相手を見てるの。

だからわたしたちは幸せなの。
そうして初めて、相手をずっと永遠に手に入れることができるから。
霞ちゃんがほんとのお兄ちゃんを見てないのは、全然悪いことじゃなくて、それは希望なの。
霞ちゃんはね・・・このままでお兄ちゃんを手に入れることができるんだよ。

ただ・・・わたしたちの存在が新しくなっても、頭の方はまだまだ旧いままだから、なかなかついていけないこともあるけどね。
霞ちゃんも多分、混乱してるんだと思う。
でもね・・・霞ちゃんの未来は薔薇色だってことは、覚えておいて欲しいの」

 

 

ここはなかなか面白いなーと思った。
でも、その自分の持ってる好きな属性に当てはまったからそこで終わりっていうんじゃなくて、次はその相手を一人の人として見るべきなんじゃないかなーと思うんだけどね。

そりゃ自分が労力かけて深く知る必要はないなって思う相手なら自分の中にある「属性」に当てはめてそれっきりでもいいとは思うけどさ。例えば仕事でやりとりが少しある程度の人とかね。

でも「好き」っていうんだったらもっと労力かけて付き合うべきなんじゃないのー?って思う。

 

 

椎奈
「支配するのがいいことか悪いことかは判らないですけど、でも支配には感情があるです。
だから・・・おにーちゃんから支配して欲しいです」

康介
「俺には・・・感情がないかな?」

椎奈
「感情がない訳じゃないです。ただ・・・わたしに向かう感情がないです。
多分・・・わたしだけじゃないです。おにーちゃん、実はこっそり、誰にも感情が向いてないです。
実はそれがおにーちゃんの優しいとこなんだなと思うです。人に感情を向けないから人に優しいんです。

 

 

椎奈ルートを一番最初にクリアしてこのやりとりを見た時は、「他人は他人」として、仲がいい相手でもある程度距離を保って付き合うのって大事だと思うのでまあわからんくもないなーなんて思ったんだけどね。

 

式子ルートで式子に別れを切り出されて、それを了承した時に「ええっ、付き合ってたのにそんなあっさり別れ話了承していいのΣ」って思いながらこの椎奈とのやりとりを思い出してた。

 

 

 

彩子
「きっかけは色々あるけど、人と人が結びついて家族ができて・・・。
でも本当のところ、実際の中身は何にもなくて、一緒にいる状態にただ名前をつけただけなんだけど・・・。
それがいつの間にか、独りでに動き出して、その中にいる人を支配するようになっちゃう。
この世の中には人しかいないはずなのに、人以外のものが人の上に立つようになっちゃう。

人が人を支配するのはね・・・いいことだと思う。
好きな人に支配されたいとか、それって普通の気持ちだと思うから。
もちろん悪いこともあるけどね。例えば・・・支配されたくない人に支配されたりするのは。
だけどそれは目に見えることだし、支配されたくなかったら、支配されないように行動したらいい。
相手の力が強くて、思うようにいかないこともあるだろうけど・・・それは仕方ないし。

仕方ないで済むことじゃないかも知れないけど、でも人と人が向かい合った結果だったら・・・それは
認めないといけないと思う。

だけどいつの間にか・・・人は、家族っていう、人の頭の上で動いてる形のないものに支配されるようになってる。
人が人でないものに支配されたら・・・それはもう人じゃなくなってると思うの。
人じゃないものの力で動かされて、自分で動けなくなるっていうのは。

椎奈は、そんな場所にいたの。家族っていうものが支配する枠組みの中に。」


「実態がない超越的なシステム」や「自走するシステム」って言葉でも劇中に出てきてるけど、無意識に刷り込まれて色々制限をかけてくるものって色々あるよね。

 

こういう考え方好きです。

 

 

悠歌
「でもね・・・そういうのって、おかしいと思わない?」

康介
「え、何がだ?」

悠歌
「人の心が判るっていうこと」

康介
「おかしいって・・・別におかしくはないんじゃないか?」

悠歌
「おかしいよ。だって、悠歌さんと康介さんは別々の人間なんだよ?。
別々の人間なのに、その人のことが判るなんて、絶対おかしいよ」

康介
「・・・おかしい・・・かな?俺たち、同じ人間だろ?
だったら、有る程度相手の考えそうなこととかは想像つくじゃないか。
もちろん完全には理解できないかも知れないけど、でもある程度判るのは普通だと思うけどな」

悠歌
「・・・普通じゃないよ。
ほんとに・・・悠歌さんと康介さんって、別々の人間なんだよ?」


ーーーーーーーーーーー

悠歌
「人のことが判るなんて普通、悠歌さんは嫌だよ。」

ーーーーーーーーーーーー

悠歌
「すごく好きとか、ものすごく好きとか・・・そういう程度の問題を超えた『好き』に、どうしてもなれないの。
本当の、特別の『好き』に。すごく・・・どきどきする『好き』に」

康介
「どきどき・・・?」

悠歌
「うん・・・この人は今どんなこと考えてるのかな、悠歌さんが言ったことちゃんと伝わったかな、悠歌さんのことどんな風に思ってるのかな・・・。
そういうのがぐるぐる回ってるような、どきどきする気持ち。
そんな特別な『好き』に・・・悠歌さん、どうしてもなれないの。
悠歌さん、人の気持ちが判っちゃうから。

人の気持ちが判っちゃったら・・・その人のことでもうどきどきできなくなっちゃう。
もちろん好きっていう気持ちは変わらないんだけど、でも特別じゃなくなっちゃう。

だって、自分にどきどきできないでしょ?
自分のことって、知っちゃってるから。
知ってるものには・・・もうどきどきできない。

思うでしょ、康介さん?
もし人の心が判るのなら、初めから別々の人間じゃなくていいと思わない?

人間なんて、この世に1人でいいじゃない。
わざわざ別々の人間に作る必要なんてないでしょ?」

 

 

この悠歌さんルートの話は、そうかなあ?って思ったんよなあ。
そもそも人の気持ちがわかるって言うけど、それ本当?って思っちゃう。
本当に人の気持ちがわかるっていうのは、相手の背景まで知らないといけないしなあ。

それこそ、自分が今までの経験等から認知済みの「属性」に相手を当てはめてるだけで、その認知済みの「属性」の数が一般人よりも多いってだけじゃないの?って思う。

その「属性」を参考にすれば上辺だけの付き合いならいくらでもできると思うけど、本気で深く知りたいならそれだけじゃないというか・・・人間ってそんな単純じゃないと思うんだよなあ。

悠歌さんシナリオは、僕にはおごってるように感じたです。

 

 

康介
「俺たちは、根本的に間違ってたんじゃないかな」

悠歌
「・・・間違ってた?」

康介
「うん。俺だけじゃなくて、悠歌だけじゃなくて、この世に生きてるほとんどの奴らは、根本的に間違ってたんだ。

言葉っていうのは、相手に伝えるように話すものじゃないんだ。
むしろ、誰にも伝わらないように話すものなんだ。

・・・自分だけの言葉で、誰にも伝わらないように、自分の内側に向けて。

それが前提なんだ。相手に伝わるようにじゃなくて、誰にも伝わらないように。
そういう風に言葉を使うとしたら、もう世界に人間が1人だけだろうが、いっぱいいようが関係ない。

ただ・・・自分の中だけを見てればいいからな。

その上で・・・それでも、奇跡的に誰かに伝わってしまう。
その奇跡を、祈るようなものなんじゃないか?

その・・・どきどきするっていうのは。
確かに俺にも判ったよ。絶望っていうのは、よく言いがちだけど、人の心が判らないことなんかじゃない。
そうじゃなくて、逆に人の心が判ってしまうことだ。

人というのは・・・何ていうかな、大量生産みたいに、共通の鋳型で作られてる。
まあ、生き物なんてみんなそうなんだろうけど。

だから、人のことだってある程度理解できてしまう・・・そこに絶望がある。
新鮮さが全然ない世界なんて・・・確かに悲しいよな。

そう・・・だからこそ、自分の中の世界だけに目を向けて、自分のためだけに物語を作らないといけないんだ。
そうやって完全な断絶を作って・・・その上で何かが来るのを夢見る・・・祈る・・・。

それが・・・希望なんじゃないか?」

 

 

ここでは「言葉」って言ってるけど、それはもう「言葉」じゃなくて別モノだよなあと思った。
猫撫でで出てきた、あの単語、なんだっけ・・・アレ。クアレ、、、だっけ?

 

わざわざ自分の感覚を捻じ曲げて最大公約数の側に寄せる必要なんてないとは思うけど、ここ読むとめちゃめちゃ極端だよなあと思った。

 

あと、人の心が判ってしまうことが絶望って、どういうことだ?
人の心が判るのと、自分がそれをどう感じるかっていうのは別ものなんだから問題ないでしょ?

それとも、「人の心が判ってしまうことが絶望なんだ」って言われて何言ってんのって思っちゃうこの感覚が既に超越したシステムに支配されてる思考なのかね・・・?

 

 

式子

自分らしい自分というものに頑なにしがみつくつもりはないけれど、それ以上の変化は、やはりわたしではないように思う。

人は変化するものだとしても、核となる部分だけはどうあろうとも持ち続けていなければならない、と思う。

そこが変わってしまうと存在そのものまで変わってしまう・・・そういう部分だけは、維持していなければならない。

・・・わたしの核。

多分わたしは、恋愛というのができない人間なのだと思う。

感情が麻痺しているのではない。

相手を好きになることができない訳ではない。

彼のことは、好きだ。

ずっと一緒にいたいと思う。

言葉を交わしていたい。

けれど・・・やはり、恋愛はできない。

友達のままでいたいというのでもない。

友達とかいう意味を越えて好きで、一緒にいたいのだ。

だけど、それは恋人としてじゃない。

正確な言葉が見つからないけれど、友達でもなく、恋人でもなく、ただ「わたしと彼」として彼と付き合いたいのだ。

 

 

「自分らしくない」ってことで自分の行動に制限をかけるのってすごいわかるなあ・・・

「いやいや、自分は非リアの側なんで」とか、最近は減ったというかなくなった?気がするけど、そういうこと考えちゃう時ってある。

 

だいぶ話は飛ぶんだけど、この「らしくない」で思い出すのは、お仕事場のアニオタな人とブラック・ブレットの話をした時に僕はひたすら

 

「幼女最高!アニメの最終回はエンジュちゃんが救いでしたね!キサラさんはいきなり強すぎだし、怖すぎでしょ!!幼女以外の女キャラはいらんのですよ!!」

 

って言ってたんだけど、その人は

「レンタロウはあそこでキサラさんを抱きとめて支えてあげないと、男としてダメだよ!」

 

とかなんとか言ってたんですよ。
彼も「ティナちゃんかわいすぎてやばいですね~」とか言ってたし、別に幼女キャラが眼中にないわけではないのに・・・!

 

アニメ関係ないところでも彼には一目置くできごとがいくつかあって、こう、僕や未来にキスをの式子みたいに消極的な意味での「自分らしくない」じゃなくて、もっと積極的なこれをやらなきゃ「自分らしくない」を持ってる印象なんだよなあ。

うーん、そうありたいものですな・・・

 

 

椎奈
「好きっていう感情は、この世の中にはないんですよ。

ただ単に一緒にいたいっていう気持ちがあって、それを相手に届けるための形にしたのが、好きって言葉です。
だから、世の中に好きって感情はないんです。

簡単に好きって言葉を使っちゃうと・・・それは、すぐに固まって・・・檻みたいなものを作っちゃうです。
本当にはないものが、あるように見えてきて、上の方から人を支配しちゃうです。
人は・・・そんなものに支配されたら駄目なんです。」

 


言葉にすると、良くも悪くも定量的になってしまうよねって。

この椎奈のセリフを読むと、EXTREMEのMore Than Wordsが聴きたくなる。

 

 

慧子
「今ね・・・人間は滅びかけてるんだよ」


「え?人間が滅びかけてるって言ったの?」


慧子
「うん。人間っていう存在がね、どんどん消えていってるの」



「・・・慧子、何言ってるの?
世の中には人はいっぱいいるし、減ってるより増えてる方が多いよ」


慧子
「確かにその通り。
物理的なヒトは、今でもいっぱいいるし、どんどん増え続けてる。

でもね・・・本当の意味での人間は、もう滅びかけてるの。
わたしたちはもう、人間って言えるような存在じゃなくなりかけてるの。
人間が滅んで、新しいものが生まれようとしてるの。
名前とかはついてないけど、今までの人間とは違う、新しい人」



「新しい人・・・?」


慧子
「お互いに知らない人がいっぱいいて・・・でも何とか情報を交換しあって、お互いに共通の像を作り上げていく・・・。
その動きそのものが、人間っていうものを作ってたと思うの・・・今までは。

でも今は・・・もっと静かなものになってきてる。
わたしたちはもう情報を交換しなくなって、ただ独り言を言うだけになってる。
視線や言葉を内側に向けるだけになって・・・話す相手が外側じゃなくて内側になって・・・『知らない人』が存在しなくなってる」



「んーと・・・。
・・・慧子、一体ボクに何を言おうとしてるの?」


慧子
「それはね・・・霞ちゃんが全然間違ってないこと。

霞ちゃんは悩む必要なんか全然ないっていうこと。」

 

 

これも悠歌さんルートと同じで、『知らない人が存在しなくなってる』って思うのはおごりだと思うんだよなあ。
自分の中にある既知の「属性」だけを見てたんじゃ上辺だけの付き合いしかできないでしょ。

それとも、その先を言ってて、上辺だけの付き合いが増えてるってことを言いたいのかな?
この全ルートクリア後に出るGenesisパート、考え方は面白いと思うんだけど、「そうそう!」とはならなかったのよな。

 

 

こんな感じで、日常パートは楽しくないけどテーマとしてはなかなか面白いなと思ったゲームでした。

自分の考えとは重ならない部分が多かったけど。

 

あと、猫撫での式子さんは好きだけど、未来にキスをの式子は嫌いだなあ。
ちょっと同族嫌悪みたいな部分あるんだよ、こっちの式子は・・・。

 

今までエロゲキャラは「好き」か「好きに入らない」の分類だったけど、初めてキャラに嫌いだと思ったし、そういう意味ではくそゲーという一言で片付けるのもなんか違うなと思ってがんばって感想を捻出したった。

 

 

まあ、メモった文を読み返してたらそこそこ考えさせられる部分もあったけど、このゲームは二度とやり直すことはないだろうなあ。

シリアスパートでもイマイチ物語に入り込めなかったから、ここに書いてることもほとんど後から考えたことだしねえ。

 

 

このゲームのプレイ後の気持ちは「人に話したい」よりも「面白いと思った人の感想を読んでみたい」だったので、あとは感想ブログを少し読み漁ってみよ・・・